塗装について

木製品を保護し見栄えをよくするために塗装は必要不可欠な手順です。私がおもにしている塗装は次の二つです。

ウレタン塗装

ごく一般的な塗装です。量販店のダイニングテーブルなどの塗装はこれ。ポリウレタンの強靭な皮膜を作るため汚れや傷、熱にめっぽう強い特徴があります。何十年もお手入れ不要なのが最大のメリットです。お客様にはこの点を強調しています。
作る側には手間と時間が掛かり、ハケ塗りでムラができやすい難しい塗装方法です。価格に反映されます。素の木材はだいたい白っぽいため、ウレタンをそのまま塗布するとほぼ真っ白になります。そのため着色料でお好みの色にしてからウレタンを塗布することも手間の掛かる点です。普通の手順は、表面研磨、着色、乾燥、研磨、着色2回目、乾燥、研磨、ウレタン塗布、乾燥、研磨、ウレタン塗布2回目、乾燥です。着色とウレタン塗布を3回以上することもよくあります。長く使っているとごく細かい傷により白く見えてきます。

写真はレッドオークのダイニングテーブル天板にオイルステインを着色しているところ。下半分はまだ素の木地のままです。写真の問題で素地は灰色に見えますが実際は赤みが入ってもっと綺麗です。それでも着色の効果がはっきりとお分かりになると思います。

オイル塗装

植物オイルを塗布します。塗った瞬間に素材の木目がそれは本当に美しく浮かび上がります。皮膜を作らずオイルが材に浸透するため、素材表面のしっとり感やすべすべ感がそのまま残ります。塗装用の植物オイルはサラダオイルのようなもので人体に無害です(ウレタン皮膜は溶け出さないのでこれも無害です)。
短所は皮膜を作らないため表面保護材にならないこと、時間が経つとオイル成分が抜けてカサカサ感が出る、傷がつきやすい、子供の落書きが残りやすい、などありますが、考えようによってはあとで生活や子育ての軌跡を楽しむことができます。
できれば半年ごとにお客様自身でオイルを塗布すると美しさを保ちます。塗布自体はいたって簡単で、ハケで塗って10分くらいしてから余分なオイルをボロキレで拭き取って終わりです。ボロキレに染み込ませて塗っても構いません。オイルはホームセンターに売っています。
ダイニングテーブルは上のものを簡単にどかせるのですぐにオイル塗布ができます。テレビ台などはそうはいかないでしょう。しかし何年も放ったらかしでもそれほどひどい状態にはならないので、お客様のチョイスであって問題ないと思います。

写真はケヤキで作ったスツール座板にオイルを塗布しているところで、強い色合と木目が出てきました。オイルは着色材ではありません。使っているハケは無色です。