無垢材の反り対策について(1)

木は乾燥すると縮みます。板の表裏では縮み方に差があるため、無垢材では必ず反りが発生します。工房龍では高級家具に使われる各種反り止め技術を用い、同時に美しさも追求しています。

端嵌め(ハシバメ)はテーブル天板や棚板の端に反り止めを嵌め込むことで板の反りを防ぎます。端嵌め材には溝を掘り、板の端を差し込みます。接着はしません。板の端には固定用の穴を3箇所空けて、外側の2つは長穴にしておきます。すると板が反ろうとする動きを端嵌め材の中でスライドする動きに変えて、反りを防止します。板と端嵌め材の素材を変えると美しいコントラストが得られます。写真の板はメープル、端嵌めはチェリーです。

工房龍最初の注文製作

工房龍最初の注文製作は電話台チェストでした。ご注文内容は、お部屋の隙間に入れるための外寸法指定、内寸法指定の大小引出しが5つ、電話メモを取るための出し入れ式の板、その下に高さ指定の物置スペース、と盛りだくさんでした。実現するために外側内側両方から寸法と構造を決めていったことを思い出します。お客さまお宅に納品しカップボード横にぴったり収まって、たいへん喜んでいただきました。素材はホワイトアッシュで強い木目が特徴です。引出しつまみとメモ板前縁には赤色のカリンを使って趣を出しました。

注文製作,注文家具,電話台,チェスト

吉野杉の箱

吉野杉で作った木箱です。杉の赤太の木目が美しく出ています。お部屋の飾りにもなるでしょう。杉のいい香りがします。天然材なので同じ木目、同じ色合いはありません。お客様のご使用目的に合わせて寸法や細部についても調整させていただきますので、ご相談ください。大きさが多少変わってもお値段は変わりません。最初の写真の箱は幅30cm奥行20cm高15cm。

定価:12,000円

木工旋盤

椅子やテーブルのカーブのついた丸い脚を作りたくて木工旋盤を買いました。SNSなどでサーっと削っていますが、なかなかそうはいきません。それでも慣れてくるとこのような出来栄えになってきました。

塗装について

木製品を保護し見栄えをよくするために塗装は必要不可欠な手順です。私がおもにしている塗装は次の二つです。

ウレタン塗装

ごく一般的な塗装です。量販店のダイニングテーブルなどの塗装はこれ。ポリウレタンの強靭な皮膜を作るため汚れや傷、熱にめっぽう強い特徴があります。何十年もお手入れ不要なのが最大のメリットです。お客様にはこの点を強調しています。
作る側には手間と時間が掛かり、ハケ塗りでムラができやすい難しい塗装方法です。価格に反映されます。素の木材はだいたい白っぽいため、ウレタンをそのまま塗布するとほぼ真っ白になります。そのため着色料でお好みの色にしてからウレタンを塗布することも手間の掛かる点です。普通の手順は、表面研磨、着色、乾燥、研磨、着色2回目、乾燥、研磨、ウレタン塗布、乾燥、研磨、ウレタン塗布2回目、乾燥です。着色とウレタン塗布を3回以上することもよくあります。長く使っているとごく細かい傷により白く見えてきます。

写真はレッドオークのダイニングテーブル天板にオイルステインを着色しているところ。下半分はまだ素の木地のままです。写真の問題で素地は灰色に見えますが実際は赤みが入ってもっと綺麗です。それでも着色の効果がはっきりとお分かりになると思います。

オイル塗装

植物オイルを塗布します。塗った瞬間に素材の木目がそれは本当に美しく浮かび上がります。皮膜を作らずオイルが材に浸透するため、素材表面のしっとり感やすべすべ感がそのまま残ります。塗装用の植物オイルはサラダオイルのようなもので人体に無害です(ウレタン皮膜は溶け出さないのでこれも無害です)。
短所は皮膜を作らないため表面保護材にならないこと、時間が経つとオイル成分が抜けてカサカサ感が出る、傷がつきやすい、子供の落書きが残りやすい、などありますが、考えようによってはあとで生活や子育ての軌跡を楽しむことができます。
できれば半年ごとにお客様自身でオイルを塗布すると美しさを保ちます。塗布自体はいたって簡単で、ハケで塗って10分くらいしてから余分なオイルをボロキレで拭き取って終わりです。ボロキレに染み込ませて塗っても構いません。オイルはホームセンターに売っています。
ダイニングテーブルは上のものを簡単にどかせるのですぐにオイル塗布ができます。テレビ台などはそうはいかないでしょう。しかし何年も放ったらかしでもそれほどひどい状態にはならないので、お客様のチョイスであって問題ないと思います。

写真はケヤキで作ったスツール座板にオイルを塗布しているところで、強い色合と木目が出てきました。オイルは着色材ではありません。使っているハケは無色です。

ロンドンのお友達

息子がロンドン駐在しています。お嫁さんと娘も一緒に暮らしています。お嫁さんは図書館で現地のお母さんと知り合いになり、もうすぐ2歳の子供達も仲良く遊んでいます。お母さんたちは何とか会話しているそうです。女性は強いなあ。